お問い合わせ
052-290-0713

分銅とは?

2017.06.09 12:40

お世話になります。
名古屋精機製作所 佐野です。
今回は、分銅についてに分かる事を書いていこうと思います。

分銅について

誤記載がある場合は、ご指摘いただけると嬉しいです。

分銅について、明確に記載されている文章が少ないので、国内にある数少ない分銅製造メーカーとして責任をもって文章を書かせていただいております。ご不明な点がございましたら、すぐにご連絡ください。

分銅とは

 分銅とは、竿秤(さおばかり)や天秤(てんびん)とともに用いて,物の目方を量る際に標準とする金属製のおもりである。法馬(ほうま)・ふんどんとも呼ばれる。
現在では、上皿天秤や、竿秤で使用されるよりも、比較対照器の基準として使われることが多い。形状も様々であり、円筒型・台型・枕型・基準分銅型・OIML型などなど様々ある。

 そして、はかりの校正などにも使用される。はかりが、ズレてしまった場合に、外部スパン調整をするときに基準として使用します。

 
 独立行政法人 産業技術総合研究所(昔の計量研究所)及び、都道府県の計量検定所によって行われる基準器検査を行われた分銅を基準器分銅と言い、検査は、都道府県知事、特定市町村長、特定定期検査機関、届出製造事業者、届出修理業者、計量士のみしか受験することが出来ない。
特定計量器の検査は、この基準分銅もしくは、実用基準分銅しか使用することが出来ない。この実用基準分銅は、基準分銅もしくは、上位のJCSS分銅で検査して規定内に入ったものをいい、計量士や、はかりメーカーが所有している。

分銅の種類

JCSS分銅

 JCSS認定事業者が発行するJCSSの校正証明書が付いた分銅のことを言う。協定質量と不確かさが明記されており、真の値の範囲がしっかりと明記されている。そして、JCSS認定事業者制度によって、しっかりと上位の分銅がわかりトーレサビリティのとれた分銅になる。
その上位の分銅をたどると、国際標準器にたどり着くものである。不確かさのついたトレーサブルな分銅になる。ISO関連で使える分銅は、JCSS分銅もしくは、不確かさのついた分銅になる。

基準分銅

 独立行政法人 産業技術総合研究所(昔の計量研究所)及び、都道府県の計量検定所によって行われる基準器検査に合格した、質量の基準となる分銅である。精度等級は特級、一級、二級、三級があり、器差が公差内にあることを証明をすることができる。
尚、精度等級と最大許容誤差の関係はこのときOIML分銅のE級、F級、M級との整合が取られた。トレーサビリティがとれているわけではなく、上位分銅が分かるだけであり、器差が公差内にあることが証明されただけであり、不確かさが付けられていないのでトレーサブルとはいえない。

実用基準分銅

 計量法改定にともない、基準分銅と同等程度の使用が出来るようになった分銅である。基準分銅を笑友している事業者が、認定し提出されたマニュアルにのっとり、自主検査した分銅であり、特定計量器の検定や検査のために、計量器事業に関わっている者が使用する事ができる分銅である。
基準分銅の所有者が認定されたマニュアルに基づいている分銅が実用基準分銅であるが、トレーサビリティがとれているわけではなく、上位分銅が分かるだけであり、不確かさが付けられていないのでトレーサブルとはいえない。

補助分銅

 検査等を受けていない分銅。各社の社内検査の成績書がついていたとしても、国や、検査機関の証明証が発行されていない分銅になる。不確かさが連れたトレーサビリティがしっかり証明できる器物であっても、JCSSや基準器検査、実用基準のマニュアルにのっとっていないものは全て補助分銅扱いになってしまう。
ISO関連書類で必要な書類を満たしてる、検査成績書を発行できる会社もある。

検定付き分銅

基準器検査の様に、独立行政法人 産業技術総合研究所(昔の計量研究所)及び、都道府県の計量検定所によって行われる検定検査に合格した分銅である。
竿秤に使用される増おもりや、棒ばかりに使用される定量おもりなどの検定に使われる。

ISO関連分銅

 JCSS校正証明書や、不確かさのついた検査成績書がついた分銅である。ISOの要求事項を満たしたしっかりとトレーサビリティのとれた分銅。

分銅の精度

E1クラス

国際キログラム原器から日本国キログラム原器に校正された分銅である。
常に国家標準にトレーサブルで、不確かさの示された校正証明書が添付される。

有効期間の目安はない。しかし、校正証明書でしっかりと精度を証明しなければならないため、マニュアルにのっとり校正周期を決め、しっかりと検査を受けなければならない。
基本的には、1年程度が望ましい。コスト面からみて一般企業がはかりの校正のために所有するのはあまり推奨出来ない。
E1分銅を所有した校正事業者・はかりメーカーにはかりの校正を行うのが一般的である。

E2クラス

基本的に、E1クラス以上の分銅によって校正しなければならない。
常に国家標準にトレーサブルで、不確かさの示された校正証明書が添付される。

有効期間の目安はない。しかし、校正証明書でしっかりと精度を証明しなければならないため、マニュアルにのっとり校正周期を決め、しっかりと検査を受けなければならない。
基本的には、1年程度が望ましい。一般メーカーでも所有している場合が多くある。校正コストもE1分銅に比べれば格段に安価になるので
しっかりと、維持管理出来る環境にあれば(自社マニュアルや、デシケーターなど)常用参照標準として管理するといいでしょう。

F1クラス(特級基準分銅)

基本的に、E2クラス以上の分銅によって校正しなければならない。
全体積の25%を超えない容積をもつ調整孔を設けられる。
有効期間の目安は、3年である。

F2クラス(一級基準分銅)

基本的に、F1クラス以上の分銅によって校正しなければならない。
有効期間の目安は、5年である。

M1クラス(ニ級基準分銅)

基本的に、F2クラス以上の分銅によって校正しなければならない。
主に、はかりの校正などに使用される。M1精度以下であれば鋳鉄製の分銅でも受験できる。
有効期間は、鋳鉄製の場合は1年で、ステンレス・黄銅製の場合は5年ある。

M2クラス(三級基準分銅)

基本的に、M1クラス以上の分銅によって校正しなければならない。
一般商取引行為での使用及び精度等級Ⅲ級のはかりと共に使用する目的の分銅。
有効期間は、鋳鉄製の場合は1年で、ステンレス・黄銅製の場合は5年ある。

検定付き分銅

竿秤に使用される増おもりや、棒ばかりに使用される定量おもりなどの検定に使われる。
有効期間がない。

分銅の形状

分銅購入を考えているが、いまいち、どんな種類を購入していいのか迷っている方に簡単な分類をご紹介します。

鋳鉄製枕型分銅

最初に、以前は非常に一般的であった
「鋳鉄製枕型分銅」(ちゅうてつせいまくらがたふんどう)です

用途:

鋳鉄製枕型分銅は、おもにエレベーターの試験や、大型トラックスケールなどの検査に仕様されます。

(購入層:計量士、秤関連会社 等)

重量範囲:

枕型(台型)

500gから200kg

大型台型

500kgから1000kg

利点:

とても、安価、持ち運びがしやすく一般的にとても普及している。校正がしやすく

塗装修理を繰り返せば何年でも使える

難点:

塗装が剥げることがあり、検査場所を汚してしまうことがある。

検査を半年から1年以内に校正を行わないと精度が保てない。

Mクラス精度までしか、基準器検査は受けられない。

ステンレス製枕型分銅

「ステンレス製枕型分銅」(すてんれすせいまくらがたふんどう)です。

用途:

鋳鉄製枕型分銅のステンレス版、クリーンルームや、食品・薬品などを取り扱う場所で使用される

(購入層:食品会社、薬品会社、計量士、秤関連会社 等)

重量範囲:

500gから20kg

利点:

校正期間が、3年から5年と、経年変化しにくい利点を生かし校正周期も長い。

クリーンルームなどの、汚れては困る場所でも使用できる。

難点:

価格が大変高価であるがOIML型よりは、安価である。
国産のステンレス製枕型分銅はほとんど製造されておらずアジア圏からの輸入がほとんどである。

鋳鉄製重錘型ウエイト


「鋳鉄製重錘型ウエイト」(ちゅうてつせいじゅうすいがたうえいと)

詳細ページ

用途:

試験機用ウエイトとして、使われることが多いです。一軸試験機や、自動車用試験機などに使用し

現在、名古屋精機製作所でもっとも多く販売されているウエイトになります。

(購入層:試験機製造会社、学校施設、研究施設 等)

重量範囲:

500gから200kg

利点:

両手で持つことができるので、少ない力で持ち運ぶ事が出来る。

スタッド付き受台と併用すれば、試験機だけでなくクレーン用のはかりなどにも

使用することも出来る。

難点:

形状の種類が統一されていないので、形状を間違えてしまうと
かさならない事がある。

円筒型黄銅製クロムメッキ分銅


「円筒型黄銅製クロムメッキ分銅」(えんとうがたおうどうせいくろむめっきふんどう)

用途:

基準器検査などによく使われる分銅です。
小型の秤の検査などによく使われています。

(購入層:計量士、秤関係会社 等)

重量範囲:

500gから200kg

利点:

基準器として使われる事が多く、分銅の校正もできる。

難点:

大型(5kg以上)になると、持ちづらく重たく感じてしまう。

OIML型ステンレス製分銅

「OIML型ステンレス製分銅」(おーあいえむえるすてんれすせいふんどう)
です

用途:

精度の高い分銅なので、どの場所でも使えます。

(購入層:計量士、薬品会社、食品会社、貿易関係会社 等)

重量範囲:

500gから200kg

利点:

国際標準型なので、輸出入を取り扱う会社でも使える。
どんな場所でも、ほぼ間違いなく使えます。

難点:

コストが高い。
校正が出来ないので、精度が落ちてしまった場合、等級を落とすしかない。

増しおもり型分銅・実量錘

「増しおもり型分銅」(ましおもりがたふんどう)
「実量錘」(じつりょうすい)

用途:

竿秤(ボクサーなどの計量に使われる 電気を使用しないので)に使用される分銅

(購入層:秤関連会社、竿秤を所有するユーザー様 等)

重量範囲:

500gから20kg

利点:

増しおもり分銅しか使えない場所で使える。

難点:

普通の分銅としても使えるが、基本的には増しおもり分銅としてしか使えない。

棒ばかり用定量オモリ

「棒ばかり用定量オモリ」(ぼうばかりようていりょうおもり)

用途:

棒秤(ぼうばかり)にのみ使用される分銅

(購入層:秤関連会社、竿秤を所有するユーザー様 等)

重量範囲:

7kg用から250kg用
(420gから12500g)

利点:

船の上などの安定しない場所でも計量が出来る棒ばかり専用のオモリ。

難点:

普通の分銅としては、全く使えず、完全な棒ばかり専用のおもりである。

分銅の取扱い

ステンレス分銅の取扱い

手袋の有無

ステンレス分銅を素手で扱うことは、質量変化の要因となるため絶対に避けるようにしてください。
手袋等は常時清潔なものを使用するようにしてください。

汚れの除去

汚れは質量変化を生じさせる要因の一つです。汚れがひどい時は、刷毛や柔らかい布等により払拭し汚れを落とすようにしてください。

使用前点検

ステンレス分銅の使用前には、その表面に埃等がないか確認し清潔な柔らかい刷毛で払拭してください。使用後は外観等を点検してから管理場所に戻してください。専用の取扱い用具等は、いつも清潔であるよう努めてください。

定期校正

ステンレス分銅は経年変化しますので、必ず定期校正を行ってください。基本的には3年以内としておりますが、異常等が認められた場合はこの限りではありません。

保管条件

保管条件(温度、湿度)は、以下のとおりで管理するよう努めてください。

①温度・湿度・気圧(推奨)

温 度:18 ℃ ~ 27 ℃

湿 度:30 % ~ 70 %

気 圧:995 hPa ~ 1035 hPa

②温度・湿度の変化が少なく、振動による影響の少ない場所。

③汚染、腐食などの起こらない場所。

鋳鉄分銅の取扱い

手袋の有無

ステンレス分銅を素手で扱うことは、質量変化の要因となるため絶対に避けるようにしてください。
手袋等は常時清潔なものを使用するようにしてください。

汚れの除去

汚れは質量変化を生じさせる要因の一つです。汚れがひどい時は、刷毛や柔らかい布等により払拭し汚れを落とすようにしてください。

使用前点検

ステンレス分銅の使用前には、その表面に埃等がないか確認し清潔な柔らかい刷毛で払拭してください。使用後は外観等を点検してから管理場所に戻してください。専用の取扱い用具等は、いつも清潔であるよう努めてください。

定期校正

ステンレス分銅は経年変化しますので、必ず定期校正を行ってください。基本的には3年以内としておりますが、異常等が認められた場合はこの限りではありません。

保管条件

保管条件(温度、湿度)は、以下のとおりで管理するよう努めてください。

①温度・湿度・気圧(推奨)

温 度:0 ℃ ~ 40 ℃

湿 度:0 % ~ 80 %

気 圧:975 hPa ~ 1035 hPa

②温度・湿度の変化が少なく、振動による影響の少ない場所。

③汚染、腐食などの起こらない場所。水滴には十分気をつけて下さい。

このように丁寧に扱うことは、とても望ましいことなのですが、誤差の遊びを1kgまで見ている場合に

1gのズレを気にして、作業が1時間も余分にかかってしまう。

なんて事にならないようにしなければなりません。

もちろん、作業効率を優先させて度量衡を、軽く見ることは、あってはならないことですが

何事も、バランスが大切です。